ちくたく、ちくたく

秒針が前にと進む

時計の音がどうしても気になるのだ。
何て煩いのだろうか、今日に限ってやけに耳に響く。

昨日だって平気で時計の音がしようと昼寝もできていたし、
いつもならば気にならない些細な時間の経過を告げる音じゃないか。

時計の音を掻き消す為にテレビをつけ、夕方のニュースをぼんやりと目に映す。
大して見たいと思ってるわけでも無いんだがな。
今朝見た新聞と大して変わらない内容がただ流れているだけだ。

ちらりと窓の外を見れば夕暮れ時を過ぎた空は茜色から
だんだんと夜を思わせる色へと変化している。

ちくたく、ちくたく

・・・遅い。

椅子から立ち上がると玄関へと足を向ける。
戸に手をかけた瞬間に、黒い人影が・・・

「ただいまー、あれ?叔父さん今から出掛けるの?」

「・・・いや、おかえり」


<<緩やかに針は進む>>
  ++++++++++++ 亜莉子ちゃんに心配される叔父さんってのも素敵ですよね!