「・・・チェシャ猫・・・・」

アリスが僕を呼んでる
早くアリスの元に行かなくては


カランッ


ようやく僕はアリスの元に辿り着いた

(ただいま、アリス)

長い時間がかかってしまった

アリスが僕を呼んでいたのに、
僕は動くことさえもできなかったのだ。

「・・・?」

アリスは僕に気付いたようで、
僕に近づき僕をそっと拾い上げた。

(どうやら、鈴だけが残ったみたいだね)

体が砕けたとき、僕自身も砕けてしまったけれど、
どうしてだかこの鈴だけが残ったのだ。

鈴には口も耳もないから少しだけ困るのだが、
幸い目だけは見れるのだから良しとしよう。
こうしてアリスの元に戻ることができたのだから

僕を胸に抱き寄せたと思ったら、
アリスは涙を流しはじめた。

「・・・っ・・・」
(おや、どうして泣くんだい)

声をかけようにも口が無いから喋れない

「・・・会いたいよぉ、チェシャ猫っ・・・!」
(僕はここにいるよ、いつだってアリスの側に)


君が望むなら、僕はどんな姿になっても君に会いに行くよ


ねえ、アリス。僕は君の元へ帰ってきたよ

     
想いは正しく伝わらない <<叶わない願いなんて存在しないよ、僕が叶えてあげる>>
  ++++++++++++ なんだか痛い話です。夕暮れのシーン大好きなんですけどね。 目はいつも見えてないので、見えてることにしてやって下さい。