黒いリボンを手の中で持て余していた。
ベルベットの肌触りにも似た上質のリボン。指通りがとても心地よい。
ああ、きっと彼女なら似合うだろうに。だがその姿を眼にする事は叶わない。

少し離れた場所に彼女は制服を身に纏い佇んでいる。
俯き気味の彼女の表情は明るそうではないが、そう暗そうな表情でもない。
スカート丈はおそらく規定の長さなのだろう。真面目な彼女の性格が窺えるものだ。
それはそうと今日は学校の無い普通の休日。しかし繰り返すようだが彼女は制服姿。

なぜならばここは喪に伏す場。
僕の妻となるはずだったあの人の葬式だ。

空はどこまでも青く澄み渡り、とても穏やかな天候で式は取り仕切られた。
ひっそりと身内だけで行われる中、遠巻きに見ているだけで何をするでもない。

実際に葬式に出るわけにはいかない身だけあって、
こうしてこの場に居る事自体控えるべきだろうと考えていた。
何せ、自分を殺そうとした相手の葬式でもある。まず有り得ない事だ。

それでも彼女は来てくれただけでも嬉しいと僕を引き止めた。

『お母さんを責めないでくれて、本当にありがとう』

そう言った彼女の顔には寂しさと不幸の影が付き纏う。
もし彼女がどんなに幸せそうな笑顔であろうと僕はそれを感じるだろう。
それに責められるのは自分であり、あの人では無かった。ただそれだけの話。

彼女は知らない。
不幸は彼女の魅力をいっそうに惹き立てている事を。
そしてどんなに僕を惑わしているのか、今の彼女が知ることは無い。

それは今に始まった話ではないのだ。
あの人が僕に彼女を会わせた時から。そう、今の今まで。

くるくると指に巻きつけては、リボンは緩々と元に戻る
何時までも繰り返し巻きつけては元に戻るその姿はまるで誰かのようだ

ああ、この黒いリボンは君にとても似合うのだろう

    
葬列に 悼みの黒リボン を捧げた <<僕は何時までも同じことを繰り返すつもりはない>>
++++++++++++ 自爆7000HITで砂原さんご要望になられました黒リボンです。 まだ病院にいる上に葬式に出てないような気がしますがここはここで。 できるだけ変態に近づけようt(ryはい、そんな希望無かったです。 お持ち帰りはリクされた砂原サマのみとさせて頂きました。