プレゼントは開けるために、リボンは解くために
 
 
It is a present of love.
それはきっと愛の贈り物。
 
 
「アリス、プレゼントだよ」
「どこに?」
 
にんまりと私の前に立っている猫の手を見ても、
何も持ってはいないし、それらしい物は見当たらない。
 
「ここだよ」
 
ちょいちょいと尖った爪に覆われた指先で自分の胸元を示す。

何時も通り赤い紐に鈴がついてあるだけだ。
 
「無いわよ」
 
また私にだけ見えない妙な物体なのかも知れない。
それなら遠慮したい。きっと見ないほうが幸せなものに違いないから。
 
「プレゼントにはリボンが掛けてあるものさ」
 
謎かけのようにしてチェシャ猫は私に言った。
いまいち猫の言うことはいつも分からない事が多い。
 
もしかして、猫がプレゼントって事・・・・、
そう思って猫の顔を見ると満足そうににんまりと笑った。
 
「リボンって言ってもチェシャ猫の鈴ついてるじゃない」
 
けちを付ける訳じゃないけれど、それにその紐解けそうに無いし。
軽く紐の先を引っ張ってみるけれど、本当に固く結んであって解けない。
 
「・・・そうだね」
 
でもプレゼントなんだよ、アリス。
どうしたしたものかと猫は首を傾げている。
 
そんな本気で悩む猫の様子が少し可笑しくて笑えた。
きっとチェシャ猫なりに考えてくれたに違いないわ。
 
「じゃあ、気持ちだけ貰っておくね」

     
心を砕いて型に流し込んだ <<気持ちが何よりも嬉しいと言いましょう>>
  ++++++++++++ 雑記より移動したバレンタインSSです。 ほら、あれですよ、僕がプレゼント☆って寒いパターン。 甘くないのはいつものことなので、ご理解お願いします。